結婚と転職、不思議な関係?(1)

 先日、会社の先輩(男性)から「ファームをやめて、転職することにしました」というメールをもらいました。お世話になった方なので、非常に残念なのですが、気になることが一つ。それは、彼が結婚を決めた後、まもなく転職、退職も決めた、ということです。男にとって、結婚と転職ってなにか因果関係があるのでしょうか?


 とりあえず考えられそうな要因を二つあげます。それは「年齢」と「本人の気持ち」です。
 ここから
 「転職する人が多い年代と結婚する人が多い年代が共通するのではないか?」
 「結婚が転職を決断するのになにか影響するのではないか?」
 という仮説を立ててみました。


 今回のエントリでは、まず「年齢」の因果関係を考察します。
 
【我が国における転職者の3割は25−34歳】
 総務省統計局が2006年8月に発表した「労働力調査の概要(平成18年4-6月期平均、速報)」によると、2006年度第一四半期までの一年間に全国で転職した人は348万人。うち男性は167万人です。就業者に占める転職者の割合は15-24歳が最も多く、男性で12.7%。次いで25-34歳で6.5%です。年齢階級別転職者数では25-34歳が最も多く、男性で全体の32%(54万人)を占めています。転職者数の半数超が15-34歳であることを考えると、転職の多い年代は20代から30代前半、と言っていいでしょう。


【男性の半数は25-34歳で結婚】 
 それでは、結婚の多い年代はどうでしょうか。厚生労働省の人口動向調査によると、2005年の男性の平均初婚年齢は29.8歳です(Wikipedia「結婚」より参照)。

 次に年齢別の未婚率から、当該年代で結婚した人の割合を推定してみましょう。内閣府発表の「平成16年度版少子化社会白書」によると、男性の年代別未婚率は以下の通りです。
20-24歳:92.9%
25-29歳:69.3%
30-34歳:42.9%
35-39歳:25.7%
 結婚したものの、離婚して独身に戻った人もいると考えられるので正確ではありませんが、約50%の人は20代中盤から30代中盤にかけて結婚をした、と言えると思います。


【年齢との因果関係はありそう】
 以上から考えると、転職者が多い年代と結婚する人が多い年代は、ほぼ一致しそうです。だからといって、転職と結婚に相関関係があるとはいえませんが、適齢期が似ていることから同時発生することがあるとは言えそうですね。


【おまけ:男の結婚、二極化が進んでいる?】
 周囲を見回すと、男性の場合、結婚が早い人と遅い人が顕著になっているのではないかと感じます。統計学的にいうと、初婚年齢はきれいな正規分布ではなく、「ラクダのこぶ」型になっているのではないか、ということです。

 内閣府男女共同参画局の「平成14年男女共同参画白書」によると、平成12年の男性の初婚者割合分布は、晩婚化の影響で昔よりも分散化しているものの、割合きれいな正規分布を示しています。しかし顕著に現れてはいないものの、35歳前に一つ山ができつつあります。まだはっきりはしませんが、統計上でも「男の結婚の二極化」が現れているのかもしれません。