Wii、ネット接続促進のKSFは「天気予報」?

 今月2日に販売が開始された任天堂Wii」。私も寒空のもと、前夜手に入れた整理券を手に朝4時から某電気店前に並び、ようやく入手しました。こんな風に書くと、「よほどのゲーム好きなんだ」と思われるかもしれません。そんなことは決してなく、ここ数年、ゲームをすることはほとんどありませんでした(業界には私と真逆で、尊敬するこの方のように、ゲームが大好きな人がいたりしますが)。そもそも、私はWiiにゲーム以外のものにも期待して購入しました。それは「Wii Channel」です。これが「デジタルホーム」の核になるのでは、と感じています。


 「キャズムを超えろ」の和蓮和尚さんは「リビングルーム機器として、Wiiのネット接続率は驚異的な数字になる!?」というエントリの中で、「Wiiバーチャルコンソール機能をお父さん世代向けに提供することによって、世のお父さん達がWiiをネットに繋ぎ、子供がその接続を利用して新しいゲームを知ったり、より深くWiiの世界を楽しんだりすることを期待しているのではないか? 上手い戦略だなぁコンチクショウ」と書かれています。私も「Wiiのネット接続率が高くなる」という意見に賛成なのですが、その要因は「バーチャルコンソール」(ゲームを有料でダウンロードできる機能)だけではなく、その手前にある「Wii Channel」も大きく貢献すると考えています(自宅のパソコンで無線LANを使っている人(無線LANの親機を持っている人)なら、Wii無線LANを使えるようにするのは驚くほど簡単です)。


 そもそもWiiは変なゲーム機です。ゲームディスクが入った状態で電源を入れても、必ず「Wii Channel」が起動します(ソニーのPSシリーズも同種の設定が可能だそうですが、あくまでも任意のようです)。そして、「Wii Channel」の片隅には、「天気予報」と「ニュース」が配置され、嫌でも目に入ってきます。この中でも「天気予報」は、メディア関係者なら衆目一致するところですが、どんな人でも必ず気になる「キラーコンテンツ横綱」です。天気予報こそ、任天堂の岩田社長がいう「24時間電源を入れてもらえるゲーム機」を実現するものだと思いますし、同時にネット接続率を高める大きなKSFになると考えます。


 こう書くと、「それなら既存のネット家電(T-naviなどネット接続機能付きのテレビ)はどうなんだ。天気予報があるけど、さっぱりじゃないか」と思われたかもしれません。でも現状のネット家電は電源を入れても、T-naviは起動しません。購入当初(購入前の電気店の店頭くらいまでかもしれません)は「ネットが見られる」「天気予報が見られる」と認識するかもしれませんが、すぐに忘れてしまいます。しかしWiiでは、常に「Wii Channel」が起動し、その片隅には、「天気予報」が存在しています。つまり常に「Wiiでは(ネットにつなげば)天気予報が見られる=ゲームをやる以外にも存在価値があるもの」ということが、認識され続けると思うのです。このような設定は、現状のテレビの枠組みでは無理でしょう。きっと、電源を入れてもすぐに番組が選べなければ、面倒だと感じられてしまうでしょう。具体的な策は思い浮かびませんが、現状のテレビチャンネルを、メインコンテンツではなく「One of them」だと位置づけ、それをユーザに認識させる仕掛けを作れば、つまり「テレビをテレビと感じさせない」ことができれば、その壁を超えられるかもしれません。もしかすると近い将来、「ユーザインタフェースだけでなく、ゲーム機に対するユーザの認識を変えたという点でも、Wiiはイノベーティヴだった」という評価がなされるかもしれませんね。